「ユーグレナ」と聞くと、バイオ燃料や健康食品などユニークな分野で注目されたベンチャーという印象が強い方も多いかもしれません。
ところが最近、同社がバイオ燃料事業を大幅に縮小し、希望退職を募ることを発表しました。
大胆な方向転換に驚いた方は多いのではないでしょうか。
そこで、なぜユーグレナがこの決断に踏み切ったのか、そしてその影響はどこにあるのかを見ていきたいと思います。
ユーグレナが希望退職を決定した背景
なぜ希望退職を決めたのか
ユーグレナは、収益性の低いバイオ燃料事業から撤退し、比較的安定した収益が見込める健康食品分野へ舵を切る方針を打ちだしました。
バイオ燃料は「環境に優しいエネルギー」として期待が高かったものの、想定以上に開発コストがかさみ、利益を生みだしにくい状況だったようです。
「せっかく挑戦したのに…」と残念な気持ちもありますが、経営を続けるためには損失が大きい領域の整理もやむを得ないのかもしれません。
採算が取れない事業の整理が必要に
とくにバイオ燃料事業で約2億5000万円の特別損失が見込まれており、現状では負担が大きすぎるとの判断があったようです。
どこかで研究開発型企業は「1円の利益を出すまでに、膨大な時間と費用が必要だ」と聞いたことがあります。
ユーグレナも、いったん踏み込んだ分野で思うように成果がでず、経営全体を圧迫してしまったのでしょう。
会社の力をとり戻すための動き
- 成長分野への集中
- 健康食品や関連する技術開発にリソースを集中し、キューサイなどグループとのシナジー強化を図っています。
- 特別退職金と再就職支援
- 希望退職に応じた社員には特別退職金を用意し、転職・再就職をサポート。余計な不安を減らすことで、改革の軋轢を最小限に抑えたい狙いも感じます。
- 財務の健全化
- バイオ燃料からの撤退で生じる損失は「未来への投資」と割り切り、健康食品事業への再配分を進める方針です。
- バイオ燃料事業の再構築
- 完全に見捨てるわけではなく、需要が伸びる航空機向けバイオジェット燃料などに可能性を見出しています。
希望退職の内容と対象者の概要
誰が対象になるのか
希望退職はユーグレナ本体の社員約50人が対象とされ、子会社(キューサイなど)は含まれていません。
社員数に対して約5分の1という数字はかなり大きく、組織にも影響が及ぶ規模です。
いつまでに応募すればいいのか
募集期間は2025年2月3日から28日までで、退職日は3月末。
わたしも何度かリストラの話を身近で聞いたことがありますが、だいたい1か月ぐらいで検討させるケースが多いようです。
企業側としても「充分な検討の時間を与えた」というアリバイ作りは必要なんですよね。
どんな支援が受けられるのか
- 特別退職金:通常の退職金制度がない分、まとまった金額を支給。
- 再就職支援:履歴書の書き方、面接対策などを専門会社と連携してサポート。
- そのほかのサポート:必要に応じた生活設計やスキルアップの相談など、転職後の不安を軽減するとり組みが行われます。
希望退職が経営と社員にあたえる影響
会社のお金にどう影響するのか
短期的には約2億5000万円の特別損失が痛手ですが、将来的に健康食品や新技術へ集中するなら、損失を早めに切り離しておくほうが得策という考え方もあります。
個人的にも「ダラダラ赤字をだし続けるよりは、一度膿をだしたほうがいい」という意見に納得できるところはありますね。
社員の気持ちや職場の雰囲気はどうなる?
希望退職が組織内部に与える影響は少なくありません。とくに従業員が大幅に減る場合、以下のようなことが考えられます。
- 士気の低下:仲間の退職は寂しいもの。残った社員には不安や業務負担増がのしかかります。
- 業務負担増:どうしても人が減ったぶん、仕事の振り分けが厳しくなるでしょう。
- ポジティブな側面:スリム化による意思決定スピードの向上や、経営の方向性が明確になるなど、プラスに転じることもあります。
本当に解決になるのか
リストラや希望退職はあくまで一時的なコスト削減策であり、根本的には「新しい事業で利益をしっかりだせるか」が問われます。
ユーグレナの場合、健康食品や研究開発の拡大がうまくいけば、今回の施策が大きな前進となるでしょう。
今後のユーグレナの経営戦略と方向性
これからの経営の方向性は?
バイオ燃料は一部再構築しつつ、主力は健康食品事業へ。
ブランド力を活用して海外市場へ打って出るシナリオも考えられます。
業績を上げるための計画とは
ユーグレナは、今後の業績向上に向けて以下のような取り組みを進めていくようです。
- 健康食品事業の拡大
- 既存商品ブランドの強化と新商品の開発
- グループ会社との連携で販売チャネルを拡大
- バイオ燃料事業の可能性再確認
- 航空機向けなど需要が見込める分野で収益化を目指す
- デジタル化の推進
- オンライン販売やDXによるコスト削減・効率化
長く成長するための工夫
ユーグレナが継続的に成長するためには、以下の戦略が重要になるという意見がありました。
- サステナビリティ:ミドリムシなど環境に配慮した技術を活かし、社会的評価を高める。
- 研究開発の強化:独自技術をさらに深め、新たな収益源をつねに探る。
- グローバル展開:国内だけに頼らず、海外市場の開拓で成長幅を広げる。
まとめ
ユーグレナの希望退職とバイオ燃料事業撤退は、いわば「成長領域に集中するための痛みを伴う投資」です。
リスクを抱えながらも、経営の先行きを見据えて方向転換するのは企業にとって勇気のいる決断でしょう。
一方で、社員の不安は避けられず、新しいキャリアへ踏み出す人、残って会社を支える人、それぞれが新たなスタートを切ることになります。
最終的には、健康食品の拡大や研究開発がどこまで功を奏するかがカギ。
バイオ燃料事業のポイントを完全に捨てずに活かせるかどうかも注目ポイントですね。
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